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レジの効率を高める新ヒント

 

昨今、ビッグデータやAIの活用は、店舗改善まで進んできています。日立ソリューションズや富士通研究所の大企業の活躍に加え、ディープラーニングを活用して店舗内行動を可視化する新進気鋭のABEJAの5.3億円増資は、最近話題になりましたね。
http://www.abeja.asia/news/20160725_incj_atv/

ということで、突然ですが、店舗に関して質問です!
お店のレジの前に、10人並んでいたとします。
どちらのレジが、より早くさばけるでしょうか?

(A)1列に並ばせたまま、順次2つのレジでさばく
(B)2列に並ばせ、順次2つのレジでさばく

       ↓

       ↓

       ↓

       ↓

       ↓

       ↓

       ↓

答えは、(B)です。

ただし、条件があります。
その条件は、レジ店員から並んでいる人たちがよく見えるように並ばせるということです。

AIではありませんが新たな店舗改善のポイントが、ワシントン大学マーシャ氏などの最新の心理学研究から明らかになりました。

マーシャ氏らは、大きく2つの実験を実施しました。
1つ目の実験では、並ぶ人の列が1列か複数列かで、レジのさばく早さを比較しました。2つ目の実験では、レジに並ぶ人がブロックされて見えにくい場合と、並ぶ人が見えやすい場合で、レジをさばく早さを比較しました。

並ぶ人がブロックされて見えない様子は、左図のようなイメージです。右図は複数列によって、より多くの人がレジから見えます。

blockedcasher

(*)Humans Are Not Machines: The Behavioral Impact of Queueing Design on Service Time内の図を改変

実験の結果は、複数列に並んだ方が早くさばけ、レジに並ぶ人がより見えた方が早くさばけるということでした。つまり、複数列によって並んでいる人たちが、レジ店員からしっかり見える環境であることが重要だということが明らかになりました。

この理由としてマーシャ氏らは、並んでいる人たちが多く見えることによって、レジ店員自身がさばいていくことによる達成感を得やすくなり、モチベーションが高まるからではないかと考察しています。確かに、みるみるレジをさばくさまを感じながらの作業は、達成感も得やすく、やる気も高まりそうですよね。

今後、レジ店員のモチベーションを高めるため、レジから並ぶ人たちが見えるようにする工夫が進められそうですね。例えば、レジの位置や商品棚の設置方法、十分なレジ前のスペースの確保、並んでいる人が見えるようなミラーやモニターの設置です。AR(拡張現実)によって、並ばれている人たちをレジ店員に可視化するといった最先端手法も導入される日も近いかもしれません。

ちなみに、この実験には計729名が参加されています。参加者をお呼びする一般的な消費者調査は数名から数十名ですので、ものすごい数に裏打ちされた研究です。

では、また次回に!

(*)引用させて戴きました論文です。
Humans Are Not Machines: The Behavioral Impact of Queueing Design on Service Time
http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=2479342

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