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20149/25

ネガティブな情報の数字は“%”で

あなたは、次のどちらを、よりリスクが高いと感じますか?

(A) 10000人中1286人は、“ガン”で亡くなられています。
(B) 100人中12.86%は、ガン”で亡くなられています。

いかがでしょうか。
なんとなく、(A)の「10000人中1286人」の方を、リスクが高いと感じませんか?
ある認知心理学の実験からわかったことですが、人は、(A)を(B)よりも高いリスクだと感じるという傾向があるようです。(A)と(B)は数学的には同じであるにも関わらず、不思議ですね。

実は、次のような条件でも比較しました。
① 10000人中2414人は、“ガン”で亡くなられています。
② 10000人中1286人は、“ガン”で亡くなられています。
③ 100人中24.14人は、“ガン”で亡くなられています。
④ 100人中12.86人は、“ガン”で亡くなられています。

この実験結果は、さらに驚きです。
数学的には、①と③、②と④はそれぞれ同じですので、②と④に対して、①と③の方が高いリスクを感じるという結果になるはずです。

ところが、リスクを高いと感じた順位は、①、②、③、④の順となりました。
なんと、②の「10000人中1286人」は、③の「100人中24.14人」よりもリスクを高いと感じた人が多かったのです。

これは、三大疾病の1つである“ガン”のリスクを考えさせたからなのでは?と思われる方もいるかもしれませんが、“ガン”を含めて同時に11の死因について実験を実施していました。

ぜんそく、気管支炎、心臓疾患、HIV、殺人、インフルエンザ、交通事故、肺炎、自殺、結核です。11の死因別で数字は異なりますが、全て②より③をリスクが高いと感じる傾向を示したのです。

このことから、ネガティブな情報の数字が大きくなるときは、“実数”ではなく、“%(パーセント)”で表現した方が、リスクを小さく見積もって受け止めてもらえる可能性が高いということがわかりました。
“%”で示されたネガティブ情報は、軽く考えてしまうということです。

日常生活においても、ネガティブな情報の数字を比較検討する場面は多々あるかと思います。例えば、保険を選ぶときのリスクなど。その際、直感も大事ですが、数字の表現に惑わされずにしっかりと論理的に数字を考えることは、正しい判断をする上で大切ですね。

なお、このように感じる脳のメカニズムは、いまだ詳細がよくわかっておりません。人の認知は、まだまだ謎に包まれています。

では、また次回に!

(*)引用させて戴きました論文です。
When a 12.86% mortality is more dangerous than 24.14%: implications for risk communication
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/%28SICI%291099-0720%28199712%2911:6%3C495::AID-ACP481%3E3.0.CO;2-J/abstract

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