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寒くなると無意識に見たくなる映画?
2016年まであと2日。あっという間にお正月ですね。
今年は暖冬ともあって、過ごしやすい年末年始となりそうです。
他方、スキー場の雪不足や野菜の価格など、暖冬はすでにいろいろな経済的影響を与えています。さらに暖冬は、ある映画のジャンルにも影響を与えているかもしれません。
突然ですが質問です。
暖冬の今年は一度忘れて、冬は寒いですよね。そんな寒い冬、次のどのジャンルの映画を見たいと思いますか?
(1)アクション映画
(2)コメディ映画
(3)ラブロマンス映画
(4)ホラー映画
熱さで寒さを吹き飛ばすアクション映画?
笑いで寒さを笑い飛ばすコメディ映画?
愛で心を暖めるラブロマンス映画?
それとも、恐怖で寒さを超越するホラー映画?
皆さんは、どのジャンルの映画を選びましたか?
どれも正解です(笑)!
皆さんが見たい映画を見ることがもっともです。ただ、ある特定のジャンルの映画のみ、寒いときに見られているという調査結果が得られました。
それは、ラブロマンス映画です。
延べ550人(驚)を超える学生実験から導きだされた結果です。
実験を行った香港科大Hong博士らによると、人は身体的な寒さを感じたとき、心理的な暖かさを求める傾向にあるそうです。結果として、心を暖かくするラブロマンス映画が見たくなるとのことです。
彼女らの実験では、アクション・コメディ・ラブロマンス・ホラーの4ジャンルの映画を評価しましたが、もし心がほっと暖まるホームドラマ映画も含まれていれば、寒いときに見たくなる映画のジャンルとなったかもしれません。
そういえば、日本国民的映画で人情映画の「男はつらいよ」も、晩年8作は11月~12月の寒い時期に封切られていました。
ちなみに、男性と女性では差があるのでしょうか?
もちろんありました。
寒いと感じられたとき、女性の方がより強くラブロマンス映画がみたくなるそうです。
マーケティング的には、寒いときにラブロマンス映画特集などの販促を映画館やレンタル店で実施すると売上げが高まりそうです。
実際、THE NUMBERSによる1995年~2010年のラブロマンス映画売上集計では、6月~8月の夏季に比べて12月~2月の冬季が高くなっています。
身体的な寒さ・暖かさを、心理的な寒さ・暖かさで充足するという原理は、映画に限らず音楽やTVなどのエンターテイメント、また飲食やコミュニケーションなどへも応用できそうですね。
さらに、論文では大事なことが一つ述べられています。
「寒い」ということを積極的に認知させるのはNGです。
実は、寒いということを自覚した人は、ラブロマンス映画を積極的に見たいと思わなくなるという結果も得ています。
「無意識」に寒さが心に影響を与えているという状態がポイントのようです。
寒いですねとお伝えしたいきもちもありますが、寒さ・暖かさは消費者に認知させずにラブロマンス映画をお勧めしましょう。もちろん、寒い日に恋人と過ごすなら、ラブロマンス映画でお互いの心を暖めるのも(笑)。
どうぞよいお年を迎えてください。
See you in 2016!
(*)引用させて戴きました論文です。
Warm It Up with Love: The Effect of Physical Coldness on Liking of Romance Movies.
http://jcr.oxfordjournals.org/content/39/2/293