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笑顔は無意識にも影響する
「笑顔」が、私たちを良いきもちにするということ、なんとなくとはいえ知っている方が多いかと思います。
実はこの「笑顔」、無意識に影響して行動も変える力があったのです。
カリフォルニア大学サンディエゴ校のWinkielman教授らが行った実験です。
実験は、のどが渇いている参加者に対して行われました。
参加者は、モニター上に400 ミリ秒(0.4秒)と一瞬だけ提示された男性の顔写真、または女性の顔写真を見て、男性か女性かを判断します。
顔写真は、男性女性ともに「無表情」の顔です。
そして、顔写真を判断する課題が終了した時、その時のきもちを回答してもらい、飲み物をふるまいました。
実験はこれだけではありません。
ユニークなしかけがあります。
顔写真を提示する400 ミリ秒の間の中で、16 ミリ秒(0.016秒)という非常にごく僅かな時間だけ、「笑顔」または「怒り」の顔写真をサブリミナルに提示しました。
勿論のこと、私たちは、16 ミリ秒のサブリミナル画像を認識することができません。
実験結果です。
まず、顔写真を判断する課題が終了した時の参加者のきもちです。
一瞬の「笑顔」の顔をみた参加者と、一瞬の「怒り」の顔をみた参加者に、違いはありませんでした。
ところがです、「笑顔」の顔をみた参加者は「怒り」の顔をみた参加者よりも、なんと、2.8倍も飲み物を飲んだのです。
さらに、飲み物に対して、「笑顔」の顔をみた参加者は「怒り」の顔をみた参加者よりも、2倍の額を支払っても良いと答えたのです。
笑顔の力、すさまじいですね。
参加者は、笑顔や怒りという刺激をサブリミナルに受けていたことを自覚していないにも関わらず、飲み物を飲むという行動の量やその価値を無意識に変化させていたのです。
言い換えると、私たちは無意識下でも顔の表情を感じ取ることができ、自身も知らずに行動を変化させる可能性があるということです。
本実験では、笑顔がポジティブな効果をもたらすという結果を強調しましたが、怒りの顔の結果から考えると、飲む量は2.8倍少なくなり、支払う額は半分になるという、恐ろしいネガティブな効果を垣間見たわけでもあります。
顔の表情の無意識への影響を、日常に照らし合わせ想像すると少し怖くなりますね。ある自分の表情が知らずのうちに、周囲の人の行動に影響を与えている、もしくは影響し合っているかもしれません。
そうそう、笑顔を上手に活用している企業があります(ありました)。
マクドナルドと帝国ホテルです。
一時期、マクドナルドはメニューに「スマイル 0円」と掲示しておりましたね。おそらく0円に対する労働コストはるかに超える、売上への効果があったのではないでしょうか。
また、帝国ホテルは、顧客が直接見えないテレフォンアポインターであっても、常に笑顔で接客するよう心がけています。電話対応時、目の前に鏡を置いて、笑顔で対応しているかを自身でチェックしているそうです(すごいですね)。言葉からも、無意識で笑顔を感じ取っているのかもしれません。
まさしく無意識にも、笑う門には福来るです。
では、また次回に!
(*)引用させて戴きました論文です。
論文1: Unconscious Emotion
http://cdp.sagepub.com/content/13/3/120.short
論文2: Unconscious Affective Reactions to Masked Happy Versus Angry Faces Influence Consumption Behavior and Judgments of Value
http://psp.sagepub.com/content/31/1/121.long