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マイクロダイアリシス研究会:神経活動の電気信号と化学信号の同時計測に向けて

12月20日(土)開催の「第25会マイクロダイアリシス研究会」の特別講演で発表します。

皆さん!
脳は、電気信号と化学信号を使ってコミュニケーションをしていること、知っていましたか?
実は学者の人たちも、良く忘れてしまうことです(笑)。
神経細胞が発火するなどして放電する電気信号と、神経細胞が放出・取込むドーパミンやセロトンなどの化学信号。
これら2つの異なる信号が巧みにシナージすることで、脳が動いています。

ただ、これら2つの信号、同時に検出することがほとんどできませんでした。
計測するためのデバイスがなかったからです。
正確には、ほとんどなかったからです。
それは、脳の中に留置できるような小さなサイズで、電気信号と化学信号の二つの信号を同時に検出するデバイスを作製することが、困難を極めたからでした。

とはいえ、私も含めてデバイス作製に挑戦した人たちがいます。その彼らの業績を特別講演では紹介させて戴きます。
もし、このようなデバイスが人に応用されれば、昨今、社会問題となっているうつ病や認知症、そして意思決定から好き嫌いまで、いままでよくわからなった脳のメカニズムが一挙に解明するきっかけとなることは間違いありません。
興味ございましたら、是非研究会へお立ち寄りください。

お声掛け戴きました廣中先生、小泉先生に感謝申し上げます。

発表論題:
神経活動の電気信号と化学信号の同時計測に向けて

要約:
脳の仕組みとこころの働きの関係を理解しようとする脳科学において、脳内の電気信号と化学信号を同部位で同時に捉えるようとするアプローチは極めて重要である。これは、脳内の神経活動が活動電位による電気信号と、ドパミンやセロトニンなどの神経伝達物質による化学信号の2つの異なる信号の巧妙な連鎖によって成り立つと考えられているからである。代表的な神経生理学研究の分析手法として、定量分析には電気信号による賦活強度の計測、定性分析(快・不快の情動など)にはマイクロダイアリシス法による神経伝達物質の検出が広く利用されている。本来両者は、同一個体の同部位で計測し、分析されることが理想的である。しかしながら、電気・化学信号の計測方法が異なるために、マイクロダイアリシスと組み合わせた電極の多チャンネル化やその配置が難しく、計測部の一体化が進まなかった。その結果、別個体の同部位、または同一個体でも別部位、例えば右脳に微小電極、左脳の同様な機能部位にマイクロダイアリシスプローブを留置するなどの方法による計測と分析が一般的に行われてきた。そこで、少ない事例ではあるが本章では、これまでに電気・化学信号の同部位同時計測を目指して開発された同一個体の同部位における電気・化学信号の同時計測を可能とする計測デバイスを紹介したい。

MD図:マイクロマシニング(MEMS)によってマイクロダイアリシスプローブと微小電極を一体化した計測デバイス(文献Kato YX et al, Front Neuroeng. 2012, doi: 10.3389/fneng.2012.00011図4より抜粋)、A:全体写真、B:ガイドカニューレ先端の外周曲面上に微小電極が複数設置された部位の拡大写真。

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